第56回 超高齢化時代の日本の住まいはどうあるべきか(その3)
株式会社 山本富士雄設計事務所
代表取締役所長 山本富士雄
超高齢化時代の住宅のあり方
超高齢化時代の住宅のあり方を年齢順に実例で箇条書きに纏めて見よう。
1・ 20歳半ば、親もとを離れて自立、借家住まい、借家は市場はアメリカ年間650万戸・、日本は僅か15万戸であるが、これからは借家は増えると思われる。(戦前(太平洋戦争前)都会に住む日本人は、借家住まいが普通であった)
2・ 30歳結婚 2000万のマンションをローンで買う。または1軒家を建てる。マンションも戸建て住宅も100年持つものを作る。修繕積立金を現在の3倍くらい掛けて、10年ごとに(大規模)修繕を行い常時手入れをし、さまざまな高価に売れる付加価値を付ける。転勤になったら、家を一部または全部を賃貸にして(賃貸しやすいようにバス・トイレユニットは各室につけてメインの動線とは別の通路を作っておく)もう一軒家を買うか借りる。前述した2箇所居住である。これは計り知れない経済効果がある事は前述した。
3・ 40歳で8000万の家(マンションまたは戸建て)を買う。上記のような手入れをする。戸建住宅もテーラー・メイドのような汎用性の無い家は減ってくる。常に家は買う人の立場になって作られる。個性的な家は高くなって売れないからである。自分の都合だけで作る汎用性の無い家は転用がないので嫌われる。
100年建っても住みたくなるような普遍的で機能的でハードよりもソフト重視の家が好まれる。暖かい土地、地域コミュニティ、ロケーションの方が単体の家よりもより重要視される。環境、気候、街並み、さらに良い地域コミュニティの有無で家の価格が決まると言っても良い。さらに専門家は容積率、建蔽率、地盤の良否、道路付きの良否、単体としての建築の優秀さもカバーしなければならない。
勿論、家は100年いや200年持つものを作る。センチュリーハウス、バイセンティニアルハウスの到来である。木造でも鉄筋コンクリートでも(耐火被覆した)鉄骨造でも、しっかり手入れすれば200年は持つ。家作りは一生に一度で良く、美しい街並みに調和するように、全体都市計画の中で建築は作られ、外観をそのままにしインテリアや設備を改良しながら使われ続ける。
建設業は巨大産業ではなくなり、人口の一割を占める土建業は縮小される。生き残れない。土木建設業も建築家も今世紀半ばに半減し、今世紀末には1/3になる。システムデザイナーとして政治も経済も分る建築家が重用される時代となる。
4・ 55歳で1億5千万の終の住み家を買う。子供が巣立つと家の一部を賃貸する。賃貸しやすいように初めから作っておく。あるいは、高齢者のためのデイハウスや(武蔵野市の)テンミリオンハウスのように自治体に賃貸する。
5・ 65才で停年、医療制度も整備され元気老人として、あと20年から30年終の住み家に自分年金で悠々自適住み続ける。また、元気老人は街中に住みたがる。
余生を送る自分の趣味が満足させやすいからである。劇場や美術館、スポーツ施設などが近いからである。畑いじりが好きな老人はビルの屋上の賃貸畑や田んぼで野菜や稲を作ったら良い。田舎は好まれないのである。屋上にゲート場と田んぼとヘリポートのある老人専用マンションが銀座に計画されている時代なのである。
土地の所有権も公共のためにさまざまに制限され、整備された都市計画がなされ、現況の百鬼夜行のような街の景観も、徐々に美しく統一されて行くであろう。私権の制限も時代の流れである。環境、共生、公共福祉がすでに21世紀の旗印になっている。
まとめ
建築家が世界的に政治力の無いのは本質が芸術家であるゆえ、やむを得ないかもしれない。世界的建築家故黒川紀章が自ら癌であることを知って、晩年を政治に捧げたいと言ったのは私は理解できる。建築家たるもの、政治と経済とさらに医学を学んで、良い社会を作り上げるため、社会システムをデザインし、「デザイン大国日本を作ろう」と再び言いたい。これを基盤に社会の行く末を見つめ、確かな見通しの上に立って、日々の業務に使命と信念と情熱を持って真のプロフェッション・リーダーとして余生を生きて行きたいと考えている。
代表取締役所長 山本富士雄
経 歴:1959年3月~1972年11月
(株)三座建築事務所大阪支社及び東京本社にて、集合住宅、電話局、病院、オフィス
ビル、個人住宅等の設計監理に携わる
1972年11月 山本富士雄設計事務所設立
1979年9月 株式会社に組織変更し、代表取締役所長として現在に至る
社会活動:〔社)日本建築家協会関東甲信越支部西東京地域会会長として、2001年4月より2
003年3月まで、西東京地域の住民を対象に「グリーンモール運動」等の活動を行った
(現在副会長)
感想・ご意見 architect@f-yamafuji.com
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