第54回 超高齢化時代の日本の住まいはどうあるべきか(その1)
株式会社 山本富士雄設計事務所
代表取締役所長 山本富士雄
はじめに
かつて、私は「都西タイムス」新聞に「設計デザイン大国目指せ日本」と言う小論文を掲載した。これから超高齢化時代を迎えつつある現代の日本の住まいは、まずそれに相応しい社会システムのデザイン確立が急務であると考える。
私は、日本の官僚はデザインというものを皮膚感覚では分っていない、学者はデザイン・セオリーと言葉は使うが、デザイン・プラクティスのことは分らないように感じている。建築家として実務的に皮膚感覚でこれらを理解でき、その大切さを日々痛感している。今や75歳以上の後期高齢者が日本の人口の2割を占める時代は目前である。
日本の将来の住まいがどうあるべきかに論を収斂させるべく、日本再生のための消費生活の拡大をどう図るかを論じ、超高齢化時代の日本の住まいはどうあるべきか、どうなるか、またそれに相応しい社会システム・デザインはどのようなものであるべきかを考察して見よう。本稿はあえてデザインと言う言語を用いて論を進めたい。
消費振興システムの確立 その1
別宅所有(2箇所居住)が都市と住まいを変える
先ず、「社会システム」と言う言葉を定義しておきたい。それは「消費生活者への価値提供の仕組み」のことである。それは技術論だけではなく、社会の価値感に影響するものである。実社会でも実践的有効性を優先するものとして考えたい。既存の産業(通信業・小売業・建設業・金融業など)を横断し、消費生活者の価値を創造し提供するものである。
私は、「社会システム」はデザインできると実感している。社会をシステムとして理解し直感的に統合する、知識と知恵だけでは駄目で、訓練がポイントとなる。訓練とは眼に見えないことを実感しその経験の集積をすることである。知識人と言われる人種はその訓練が圧倒的に足りない。官僚しかり、学者しかり、政治家しかり皆落第である。
「超高齢化社会」はかつて人類が経験したことの無い未知の分野であり、「寝たきり老人」を減らし「活動的な歩き廻り元気老人」を増やし、社会参加と責任感・達成感を高齢者に与え続ける事が最大の課題である。この課題は政府の一省庁の権限内では解決不可能で、これらの省庁を横断するシステムの確立が求められる。1000兆円を超える金融資産を持つと言われる高齢者は巨大な潜在消費市場であり、定期的に若干の収入さえあれば消費を画期的に拡大させる力がある。金を自分では使わず子孫に残したい人も多いだろうが、消費に回したくなるシステムを作る事が経済の活性化に繋がる。
団塊の世代が60歳を超える今こそ、この社会システムを作る好機である。
1週間を3日か4日働いて暮らし、別宅を持つ2箇所居住の時代が目前に来ている。拡大首都圏約4千万人の内、少なくとも1千万人が東京とその近隣に居住し、週末定期乗車券を使って新幹線などで往復する2箇所居住が普通になるだろう。昨年末に国土交通省は2020年に2箇所(地域)居住人口を680万人とはじき出している。私は拡大首都圏では1千万人になると思う。この事は地方活性化に寄与し日本の生きる道なのである。今日本を逃れ海外で年金暮らしをしている人々が、国内回帰をするのは目前である。女性は現実的なので、既存のコミュニティがなくなるのを嫌い田舎暮らしは望まず、地方と都心の2箇所居住を望む傾向が強い。地方の受け入れ先の体制整備も肝心であるが、2箇所居住が近い将来定着することは疑いない。
既存住宅購入、高齢者移動に伴う新交通サービス市場の充実、耐久消費財需要の拡大、さらに高齢者雇用市場の拡大等の良い循環の新市場が生まれるだろう。
別宅に不在の時は管理人を置いて常時賃貸するか、外国人も含め旅行者に場良い賃貸してローン代を稼げ良い.そのために各室にバス・トイレ・洗面・キッチンのあるワンルーム形式が望ましい。IT設備も完備した居間は談話室、会食のスペースとなり良好なコミュニティが保たれる。
代表取締役所長 山本富士雄
経 歴:1959年3月~1972年11月
(株)三座建築事務所大阪支社及び東京本社にて、集合住宅、電話局、病院、オフィス
ビル、個人住宅等の設計監理に携わる
1972年11月 山本富士雄設計事務所設立
1979年9月 株式会社に組織変更し、代表取締役所長として現在に至る
社会活動:〔社)日本建築家協会関東甲信越支部西東京地域会会長として、2001年4月より2
003年3月まで、西東京地域の住民を対象に「グリーンモール運動」等の活動を行った
(現在副会長)
感想・ご意見 architect@f-yamafuji.com
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