第53回 中古住宅取引市場の仕組み整備
日本の住宅は、平均30年で建て替えられるそうです。一方、海外の場合、アメリカでは55年、イギリスでは77年です。もったいないと思いませんか? 住宅業界の仕組みを見直す必要がありそうです。
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中古住宅取引市場の仕組み整備 (日経産業新聞 2007.10.10)
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◆「所変われば品変わる」という。「日本の常識は世界の非常識」という表現もある。海外を礼賛したり軽蔑したりするつもりはないが、日本との違いに驚かされることはしばしばある。
◆住宅業界での日米の違いは非常に大きい。家の構造や間取りに対する考え方はもちろんのこと、購買行動も異なる。
◆たとえば家を建てようとする場合、最初は「プランブック」と呼ばれる設計図のカタログで気に入った家を選ぶのだそうだ。そして通販で詳細な図面を購入する。
◆その図面を複数の工務店に持ち込み、相見積りを取り、そして発注となる。これは新築の場合だが、中古市場も非常に活性化されており、新婚からスタートし、ライフステージに応じて家をグレードアップしていく。
◆買い替えの頻度が高いのは、中古住宅が高く売れるからだ。だからこそ、DIYに熱心に取り組む。土地の値段は別として、手入れをしっかりすれば、買った値段よりも高く売れる。
◆以上は聞きかじりの知識に過ぎないから、不正確な部分もあるかも知れない。とは言え、違いが大きいということは理解いただけるだろう。
◆10日付けの日経産業新聞に、「中古住宅取引市場の仕組み整備」についての記事が掲載されている。福田内閣は「200年住宅構想」を掲げているのだそうだ。米国をはじめとする海外の住宅のあり方
を視野に入れてのものだ。
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買った後の手元価値を訴求する
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●記事は「中古住宅市場拡大への課題はどこにあるのか」と論じている。どうすれば中古住宅市場が拡大するかを考えるにあたっては、なぜ中古住宅市場が拡大しないのかという切り口が有効だろう。
●その点については、「周辺地域の取引相場が優先され、住宅の性能などについてはあまり考慮されてこなかった」、「業界の慣行では住宅は20年が経過するとほぼ無価値と査定される」、「価格査定方式もあいまい」と、ネガティブな要因が挙げられている。
●対策としては、中古市場が活性化している業界をベンチマークすることだ。記事は、「大和ハウス工業の開発チームが中古車取引を参考に編み出した」という「住宅の『実力』を性能ではじき出す仕組み」を紹介している。
●この仕組みで評価すると、「しっかり手入れ、改修していれば物件価値が落ちにくい」。手入れが良ければということだろうが、「標準的には相場より8-10%上乗せした価格で評価されているという」。数千万円の「8-10%」は大きい。
●中古車市場が確立していることは、新車の市場に良い影響を与えている。査定の信頼性が高く、そこそこの値段で売却できるからこそ、新車を購入する余力が生まれるからだ。購入と売却の金額の差が、実際の負担となる。
●住宅の場合、土地の値上がり益がカバーするので、家屋の価値が下落しても気にする必要はなかったという背景がある。購入と売却の金額の差が、大きくプラスになることも珍しくなかった。しかし、そのような「土地神話」が期待できなくなれば、やはり「仕組み」が変わる必要があるわけだ。
●「購入と売却の金額の差」を極小あるいはプラスになることが市場の活性化、すなわち購買意欲に影響するのは、自動車や住宅に限らないことだろう。
●そう考えると、他の業界でも「購入と売却の金額の差」を意識できるような仕組みがあるとよいかも知れない。「中古」というくくりでは、査定の信頼性や取引市場の存在が前提となる。
●そうでなくとも、単純な「消費」ではなく、「投資」すなわち、いずれ「売却」が可能であることを謳うのは、販促に貢献する。たとえば、習い事をしてお免状をいただくと、スキルが身につくだけでなく、自ら師匠として生徒を獲得できるのであれば、授業料が高くても生徒を集めやすい。
●売り手は売ることに熱心になるのは当たり前だが、買い手は、買った後の「手元価値」を気にせずにはいられない。「手元価値」の大きさを訴求できるようなマーケティングの仕組みを作ることを考えるとよいだろう。
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教 訓
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あなたの企業の顧客は、商品を購入した後の「手元価値」をどのように認識しているだろうか。「手元価値」の大きさを十分に確保し、それを訴求できる仕組みがあれば、購買意欲は高まり、市場が活性化するはずだ。

