感動受注経営学校

第42回 今こそ「都心居住」を

2006年12月08日

世界の人口は60億人を超え、FAOによると2015年に72億人に、2030年に81億人に、2050年に89億人になると予測されている。近年、都市人口が増大しており、今後、増える人口のほとんどは都市に集中すると考えられている。世界の都市問題は、増え続ける人口への対応が課題となる。

 地球環境の保全のため、増え続ける二酸化炭素の増大による地球温暖化また都市温暖化の影響を食い止め、住みよい都市にしていくあり方が問われている。
 わが国は、今後人口が減少し続けると予潮され、都市においても住みよい都市のあり方が問われ、田園においても人口減少と過疎化の影響を食い止め、住みよい田園のあり方が課題とされている。

 わが国は高齢化社会になりつつある。自分が高齢化に直面したとき、どのように対応したいと考えるだろうか。
 高齢者としては、健康でありたい、そして人間として充実した人生でありたいと考えるであろう。健康でありたいと思う中で、最初に頭に浮かぶのは、自宅を高齢化に向けて改造することであろう。具体的には、段差をなくす、手すりをつける、ホームエレベーターをつける、車いすが動ける廊下、便所、台所などにする、などなど。自宅が改造できない状況であるならば、高齢化に対応している不動産を取得しょうとするであろう。

 充実した人生とは、基本的にしたいことができるということであろう。高齢者は、一般的に時間と資金が豊富である。若い時とは、別の意味で活発になる。施行も観劇も映画もスポーツも俳句も油絵も、などなど。大都市圏では、住宅地の地価高騰により、都心を離れてはるか郊外まで住宅地はひろがって人びとが住むようになり、1時間をはるかに超え、場合によっては2時間以上の時間をかけて都心近くまで通勤・通学・買い物などをしている。
 旅行に行きたい、観劇をしたい、映画を見たい、スポーツを見に行きたい、俳句の会に出たいなどという場合に、自宅から最寄りの乗車駅、目的地の下車駅、目的地への道のりはどうであろうか。長ければおっくうになる。身体がきつくなる。増分の希望と郊外居住の現実のギャップに気が付く。

 高齢者になると第一に人間のつながりを求め、友人を訪ねるようになる。
それがお互いに郊外居住であれば、時間ばかりかかることにもなる。第二に高齢者は専門の病院にかかることが増えてくる。高齢者専門の病院は、郊外には少なく、都心近くまで出てかなくてはならない。
 わが国は、バブルがはじけて、都心には、商業地にも住宅地にも、地上げされたものを含めて空き地が多く存在する。これらの土地を再開発するとしても、事務所ビルの需要は限られている。立地が少しでも悪ければ事務所ビルとしては、投資利益を確保することはできない。こういう場所にも立地するとすれば、都心型の高層集合住宅が考慮される。中高層マンションも含まれるが、公共賃貸住宅であれ公共分譲住宅や、または民間賃貸住宅であれ民間分譲住宅などが出来てくる。都心型の高層集合住宅には、郊外住宅にない別のいくつかの課題がある。それらを解決していく手だてを早急に検討する必要がある。都心近くの住宅地は、人びとが次々と郊外へ出ていってしまって人口が減少しすぎ、地域コミュニティーとして成立できなくなり、地元の個人商店が立ちゆかなくなるなど、あらゆる問題が発生している。

 一方、都心近くの地域コミュニティーには、伝統・歴史を感じさせる文化がある。
今、新しい都市づくりの流れが起きつつある。一言でいえば、都心居住の流れである。

人びとが都心に戻ればすべての問題が解決するというような単純なものではない。しかしながら、都心居住が進められていることにより、都心近くの地域コミニィティーは復活し得るし、文化の伝承もできるようになる。都心近くの高齢化に対応した質の高い高層集合住宅が増えてくることにより、郊外に住んでいた一部人びとは、都心居住に切り替えつつある。
実体経済を良くしていくためにも、新しい都市づくりの流れを作っていくことが必要である。
都心近くへと居住する人びとが増えてきて、都心型の高層集合住宅の需要が増し、それにつれて商業施設や文化福祉施設が必要となることにより民間投資が活発になり、公共投資も基盤整備としてそれを支えていく形ができるならば、それが新しい都市づくりとなり、また内震拡大にもなり、多くの課題を解決していく突破口なっていくだろう。私の住む武蔵野市にも大型の高齢者のための集合住宅が駅近くに出来つつある。これは止めることの出来ない流れであろう。
 私の事務所もかつて「高齢者にやさしいコミュニティー」の競技設計に入賞した。アメリカのサンシティーを参考に、当社は中国某市の高齢者新都市競技設計に応募している。この動きは世界的なものであろう。

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(株)山本富士雄設計事務所 

代表取締役所長 山本富士雄

経  歴:1959年3月~1972年11月
      (株)三座建築事務所大阪支社及び東京本社にて、集合住宅、電話局、病院、オフィス
      ビル、個人住宅等の設計監理に携わる
      1972年11月 山本富士雄設計事務所設立
      1979年9月 株式会社に組織変更し、代表取締役所長として現在に至

社会活動:〔社)日本建築家協会関東甲信越支部西東京地域会会長として、2001年4月より2
      003年3月まで、西東京地域の住民を対象に「グリーンモール運動」等の活動を行った
      (現在副会長)

感想・ご意見 architect@f-yamafuji.com
 H   P   http://www.f-yamafuji.com/ 

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