第33回 今こそ日本は設計大国を目指そう!
日本は第二次世界大戦終戦後力強い経済復興によって、「経済大国」と言われて来ました。しかしこれからは、「設計大国」を目指していくことを提案致します。
21世紀はアジアの時代と言われていますが、日本こそ「設計大国」をキーワードに、 「 環境・共生・アイディア・デザイン・技術 」 をアピールしていくことが大事だと思います。日本人の英知を振り絞って、日本のデザインセンス、設計技術を世界に発信して行きたい。それが、建築家の社会的な存在価値を正しく伝えることに繋がると思います。
その一方で、一般の方の建築家に対する認識は残念ながらまだまだ低いと思います。
設計や監理に対してその価値の理解が浸透していないと思います。「設計大国」を目指すには、国民にその価値を正確に理解して頂く努力が必要であり、設計・監理をきちんとすればリーズナブルで、質の高い建築ができるというその価値を、一般ユーザーに理解して頂かなければなりません。
設計入札の制度にもストップをかけ、それを地方自治体まで浸透させていきたいと考えます。設計入札というのは、「ダンピングというのは、自己否定を引き出す悪い設計者選定システムである」と発言し続け、30年前から私は「入札をしない建築家の会」に入り活動を続けて参りました。設計入札のシステム自体が反倫理的、反社会的とも思えます。
建築関係五会による「入札によらない設計者の選定」の提言が2003年にまとまり、国交省は国の公共工事の発注が設計入札でなくプロポーザルによることを明確にしています。
設計者の業務環境を悪化させているのは大きく二つのことが関係しています。
一つは設計入札制度、もう一つはハウスメーカーや建設会社によるサービス(無料または低額)設計です。多くの建設会社では設計・施工一環としてサービス設計が行われていますが、これを無くすために建設会社における「設計契約の独立化」を主張し、それを実現するよう国交省等に働きかける努力を致します。設計は委任契約の要素が強いこと、また設計者の独立性という点からも、設計契約を工事契約とは独立して別個に行わなければならない、すなわち設計施工の契約上の一体契約の禁止を明確にする必要があると思います。私は3年前まで会長だった日本建築家協会三多摩地域部会で、この運動に力を注いで参りました。接した自治体では、それなりの理解は得られたと思っています。
そして工事監理は設計の連続と言う意味で設計と一体であり、公共工事における第三者監理も勿論設計と連続的でなければならないのです。品質・性能監理的な部分にしか第三者監理は適切ではないと私は考えます。また民間の設計施工一貫の場合でも工事監理について、品質・性能監理的な部分は設計施工一貫を禁じ、資本的に無関係の設計事務所に担当させることを明確にする必要があります。
国交省は、姉歯事件を受けて、8月頃までに建築士法改正をまとめると言っています。
日本建築士会連合会と建築技術教育普及センターを除く11団体は、明確に新資格の創設を主張しています。建築士会は、現在の建築士法の枠内における専門制の導入を主張しています。統括建築家は、構造も設備も創造し調整し指示し取りまとめる役割があって、最終的な責任は建築家が取るわけです。そのような存在としての建築家を主張していかなければなりません。
建築家と技術者とその役割分担を明確化していくことは世界の標準です。日本だけが明確化されていないのは野蛮国であるからとすら言えます。ここで建築家の職能を確立し、責任を果たしていくために、一つには、建築家は自らの設計・監理した建築について名前を出していくことを推進していきたいと思います。デザイン、技術についても責任を負っていく、それが対社会的な責任です。デザインについても技術についても責任を負っていく姿勢が必要であり、それが対社会的倫理責任です。それは設計の重要性を市民に知ってもらい、浸透させていく上で重要ではないかと思います。顕名運動として、公共建築、民間建築を問わず、誰が設計したかという銘板を建物に付ける。そうすることによって建築家の責任も明らかにできる。宅建業法も改正し、建築家、構造家などの名前を入れさせることが大事です。建築家の「顕命制度」も私は30年前から主張しています。小学生(正確には国民学校)の時に見たアメリカ映画「摩天楼」を見て声楽家にならずに建築家になった私にとってこのことは大事なことです。どうぞ私のホームページをご覧ください。
資格の問題については、教育の問題も絡んできます。専門資格がつくられても試験制度そのものが大きく変わり、大学院修了後3年の実務訓練を経て国家試験資格取得というかたちになるかまだ不明です。単に構造、設備が従来の建築士制度になぞられる可能性も高い。建築教育を4年でやっているのは、アジアの中でも日本だけです。
建築家を取り巻く社会環境は、耐震強度偽装問題による影響もあり、設計者あるいは技術者への国民の信頼が失われた社会的状況があります。この問題は、建築基準法・建築士法など建築関係の法規が制定後55年を経て「前世紀の遺物」化しているだけでなく、日本の社会システムの劣化も現しているのだと思います。
アメリカの圧力と言われる「官から民への規制緩和」と資本主義の「拝金主義」の流れに、錆び付いた法律が合わなくなって来た残念な現象と捕らえています。国交省と自治体と建築家と金融機関と保険会社とそしてユーザーにも責任があります。自分たちも悪いと言う認識も時に必要でしょう。私たち建築家も社会的な信用を失った事件であります。姉歯事件についても、どうぞ私のホームページをご覧ください。山本富士雄で出て参ります。
建築家が真の「プロフェション」(職能人)として、世のため、人のために役立つよう、若い建築家を育てて、バトンタッチをしたいと念願しながら、私もまだあと20年は現役として頑張り続ける所存です。
代表取締役所長 山本富士雄
経 歴:1959年3月~1972年11月
(株)三座建築事務所大阪支社及び東京本社にて、集合住宅、電話局、病院、オフィス
ビル、個人住宅等の設計監理に携わる
1972年11月 山本富士雄設計事務所設立
1979年9月 株式会社に組織変更し、代表取締役所長として現在に至る
社会活動:〔社)日本建築家協会関東甲信越支部西東京地域会会長として、2001年4月より2
003年3月まで、西東京地域の住民を対象に「グリーンモール運動」等の活動を行った
(現在副会長)
感想・ご意見 architect@f-yamafuji.com
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