第28回 「 自動車産業から学ぶべきこと 」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
自動車産業から学ぶべきこと ---情報源:日経産業新聞 2006.04.04(26面)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆会社の中で、誰が一番偉いのか。どの部門が強いのか、つまり発言力があるのかを見極めていくと、販売重視、製造重視、あるいは技術・開発重視のように、その企業の社風を理解することができる。
◆企業として、特定分野に「強み」や「特色」を持つのは、悪いことではない。とは言え、特定部門の発言力が強くなり過ぎると、逆に進歩が止まってしまうということもある。
◆4日付けの日経産業新聞に、スズキの小型車「スイフト」の「世界販売が好調だ」という記事が掲載されている。この「世界戦略車をどのようにして成功軌道に乗せたのか」を解説している。
◆「スイフト」開発にあたっては、各部門間の衝突が繰り返されたそうだが、「腹を割ってとことん議論することで、性能とデザインの両立が可能になり、新車の競争力向上につながった」という。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
部門間の力関係を是正する
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
● 記事によれば、「軽自動車の低コスト生産を得意とするスズキは生産部門の発言力が強い」。だから、低コストを実現することを優先するため、設計やデザインが犠牲になりがちだ。
●しかし「スイフト」については、「走りとデザインを両立させる」のがコンセプトだという。特定部門の発言力が強い場合、そもそものコンセプトがないがしろにされてしまうケースもあるのだが、そうはならなかった。
●コンセプトが十分に浸透していたという面もあるが、トップが「このデザインを必ず守れ」と、明確に方針を示したことが大きい。部門間の衝突に裁定を下すのは、リーダーの重要な役割だ。
●デザインを妥協せずに「スイフト」を完成させたことにより、「生産力にも磨きをかけた」と記事は解説する。「スイフト」の開発を通じ、スズキはデザインと生産力の強化という、二つの副次的成果を上げたわけだ。
●また、生産部門の発言力を、ある意味で抑制したことが強化につながったと考えると、興味深い。正確には、デザインを妥協しないことで、生産部門に負荷をかけたことが、生産力の強化につながった。
●発言力が強いというのは、慢心をも意味すると言えるだろう。拮抗するライバル部門が存在することで、切磋琢磨する。そのバランスを取ることも、経営者として重要な、企業の舵取りのやり方だ。
●スズキの場合、部門間の衝突から逃げず、先述のように「腹を割ってとことん議論する」ことをしたという。力関係が一方的では、それができにくい。組織運営の妙味を、この事例から学び取りたい。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 教訓 ■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
あなたの企業の部門間の力関係は、現在、どうなっているだろうか。一方的な力関係があるとすれば、あえてそれを崩すことをしてみよう。企業体質が脱皮するきっかけとなるかも知れない。

